研究開発

研究理念: 東北大学農学研究科発の技術の実用化を通じ、社会の持つ課題解決に貢献します。

現在の研究

  • 超高齢化社会に対応する スマートエイジング素材・食品の開発
  • タキシフォリンとビタミン等を併用した健康維持サプリメントの開発
  • ゼブラフイッシュを用いた、タキシフォリンによる認知症改善効果の研究
「タキシフォリンの奇跡」https://youtu.be/9lBUVZD7iNE

これまでの研究

葉緑素由来物質が原因の光過敏症の研究

木村修一はクロロフイルの分解で生じるフェオホルバイドによる光過敏症 及び、食品素材による光過敏症の予防を研究し、フェオフオルバイドにより発生した一重項酸素が原因となる生体組織の酸化をタキシフォリンが持つ強力な抗酸化力により抑制し、光過敏症を予防することを明らかにしました。

また、木村修一はタキシフオリンの持つ強力な抗酸化力に着目し、高温加熱時に食品に発生するアクリルアミドの低減方法及び食品用抗酸化剤を開発いたしました。

特許:加熱処理加工食品中のアクリルアミド低減方法(登録5486079出願日2011.6.21)ロシア、中国、ドイツ、フランス、イギリスで特許取得済。
※例えばジャガイモにタキシフォリンを加えフライするとフライドポテト中のアクリルアミドが低減する。

特許:食品用抗酸化剤(登録6761623、出願日2015.8.21)
※食用油脂の加熱劣化を抑える、タキシフォリンと乳化剤を組み合わせた抗酸化剤

農林水産の未利用資源を有効活用するための技術開発、商品開発

・ホヤの外皮(殻)の活用

東日本大震災により、宮城県のホヤ養殖は壊滅的な被害を被りましたが、2016年には15,000トンレベルに復活しまし、ホヤの剥き身を急速冷凍し、通年で全国流通できるようになりました。生産する時に発生する外皮(殻)は産業廃棄物となりますが、これを活用し震災復興に貢献すべくホヤランプ(品名:「ロレツイ®」ランプ)を開発しました。2021年から仙台うみの杜水族館、松島離宮などで販売しています。

ホヤの外皮(殻)の活用

2022年には東北大学基金の高額寄付者に対する返礼品に採用されました。詳しくはこちら

高額寄付者に対する返礼品

最強の抗酸化物質「タキシフォリン」の研究開発

タキシフォリン1

タキシフォリンは天然のポリフェノールの一種で、ロシアのシベリアで生まれ育ったカラマツに含まれる成分です。タキシフォリンは、幹の下の方に集まっています。シベリアのカラマツは、夏は30℃以上、冬はー60℃以下の環境でも生育する生命力の強い木です。日本のカラマツにもタキシフォリンは含まれていますが、有効成分を90%以上に高めた粉末とする技術はロシア独自の技術です。

ロシアでは、カラマツの木を煮出した汁を飲んで、体の機能を回復させるという使われ方が古くからあり、1960年頃にロシアの化学者が調べたところ、タキシフォリンは非常に抗酸化力の強い成分であることがわかりました。ロシアでは、ガンや糖尿病、循環器系といった疾患の治療薬に利用されています。糖尿病からくる網膜症や白内障といった眼の病気に対しても、タキシフォリンは高い可能性を秘めており、タキシフォリンは美肌や美白効果も期待されています。脳の神経細胞は歳を取るにつれて活性酸素によるダメージを受け、認知症が起こりやすくなります。タキシフォリンは、アミロイドβの蓄積や炎症性物質の産生や活性酸素レベルを抑えることが知られています。ロシアのヒト臨床試験では、脳の血流が悪くなることで起こる認知症の患者がタキシフォリンを摂取し改善が見られたました。また、数字を短期記憶したり、こぶし握りを素早く繰り返したりする、簡単な認知症テストを患者に21日間続けたところ、タキシフォリンを摂取した人は、注意力や短期記憶、運動能力などが向上しました。

タキシフォリン2

日本では、ペットボトルのお茶の中に酸化を防ぐ働きのビタミンCが微量添加されておりますが、ロシアでは同様に食品の中にタキシフォリンが添加されています。タキシフォリンとビタミンCの相性は非常に良好で(株)DHQからタキシフォリンとビタミンCの組み合わせたサプリメント(「ラビトールプラスタキシフォリン」)が発売されております。

タキシフォリンの安全性認証につきましては、日本では2005年厚生労働省が食品として承認し、食品表示名称は「カラマツ形成層・木部抽出物」となっております。当社が扱ておりますタキシフオリン90%純度製品「ラビトール」は、米国におきまして2005年GRAS認証、EUにおきまして2016年「Novel Food and Novel Foods Ingredients」認証を受けております。

健康維持サプリメントへの活用

タキシフォリンは強力な抗酸化力・抗糖化力を持ち、スマートエイジング素材として健康維持に貢献できる食品素材です(食品ですので薬効はアピールできません。)

健康維持サプリメント

スマートエイジング素材として天然ポリフェノールの一種「タキシフォリン」、植物精油の機能性成分「ゲラニルゲラニオール」、ビタミンB群の一種である「ビオチン」を活用した健康維持サプリメントを開発中で、栄養機能食品(ビオチン)で商品化の予定です。

サプリメントの商品開発の流れを以下に示しました。

区分  実施事項 当社の例
調査 市場調査や原料や商品情報の調査を行い、コンセプト設計の基礎情報とします。 平成28年厚生労働省の調査によると、日本における男性の平均寿命は80.98歳ですが、日常生活に制限のある期間8.84歳を除いた健康寿命は72.14歳です。女性の平均寿命は87.14歳ですが、日常生活に制限のある期間は12.35歳で健康寿命は74.79歳です。
健康寿命を延伸し、日常生活に制限のある期間を短縮することに貢献するサプリメント・食品を開発することでQOLの向上に貢献できると考えました。
商品設計 商品名、商品形態、配合処方などを設計します。 日常生活に制限のある状態とは各種疾患で通院や入院している状態を指します。生活習慣を適切に維持することで生活習慣病を予防できることが知られています。この生活習慣の持つ力にちなんだ商品名を検討いたしました。
原料選定 商品のコンセプトを満足させることができる原料を選定します。 健康寿命を延伸する食品素材・食品添加物として、木村修一東北大学名誉教授の技術シ-ズである抗酸化物「タキシフォリン」、東北大学駒井名誉教授の技術シーズである脂溶性ビタミンに体内で進化する「ゲラニルゲラニオール」、ビタミンB群の一種「ビオチン」を選定いたしました。食品表示法に基づき、健康栄養食品(ビオチン)のサプリメントと致しました。食品素材は植物由来であるため、製剤化は動物性原料を用いない設計といたしました。
試作開発 小規模試作を行い、最終的な商品仕様の決定、コストの算出、保存試験を行い安定性の確認を行います。併せて、最適な包装形態、商品特性を理解しやすい包装デザインの作成を行います。 サプリメントの素材が全て粉末状であれば、錠剤の形に成形できますが、一部に液体油脂を含むため、粉末+液体油脂をベース油に安定剤(動物フリー)を加え分散し、植物性被膜で包むソフトカプセルを選定いたしました。ベース油は消化吸収が早くからだに蓄積しにくい植物由来の中鎖脂肪酸(MCT)油を選定いたしました。
サプリメントは1日2粒・約1か月分60粒の商品とし、価格は1か月当たり3,000円台を目途に配合を設計しました。サプリメント製造メーカーにて、内容物を調製するビーカーテストを行い散状態を確認後、 実生産機を用いカプセルを少量試作(2000粒程度)します。栄養成分分析、微生物分析を行い、無地包材を用いた加速保存試験(60℃、RH75%、4か月)を行います。
生産 保存試験結果の評価、包材の表示事項の確認の後、生産を行います。 保存試験ではカプセルの性状評価、ビオチンの成分分析を行い賞味期限2年を満たすことを確認した後、法律的に問題が無く、且つ、消費者にコンセプトが伝わるデザインを施した包材を用い生産を行います。生産は10万粒が最低生産ロットです。

体内で変換する植物成分「ゲラニルゲラニオール」

タキシフォリン1

ゲラニルゲラニオール(geranylgeraniol;GGOH)は食品素材ですが、摂取すると体内で脂溶性ビタミンやステロイドホルモンなどの中間原料となり、結果的にCoQ10や脂溶性ビタミン(E、A、K 等)が体内で増加します。

GGOHは 植物精油の主成分テルペンが2つ結合したジテルペンにアルコール基がついたもので、野菜、果実、穀類 それらを原料とした油脂 に含まれています。このことから、我々は通常の食事を通じて GGOH を摂取しています。GGOHを摂取すると体の細胞内で、多くの生合成反応の中間材料として使われます。GGOHは結果的にCoQ10、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンK、ステロイドホルモン等の体内産生に関与し、これらが体の生体反応を正常に維持することで、健康維持に役立っています。最近の研究でGGOHは抗炎症作用、細胞修復作用があること、男性ホルモンテストステロンの分泌増強作用があること、が明らかになってきました。

GGOHはオリーブ油、亜麻仁油、ヒマワリ油に高濃度で存在しますが、南米の植物ベニノキ(Bixa orellana L.)の種子の被覆物に最も豊富に存在します。ベニノキの種子を食用植物油で抽出したものがアナトー色素の原料アナトー油です。工業原料としてはアナト―油を精製したGGOH純度50%品があります。

健康維持サプリメントへの活用

ゲラニルゲラニオールは健康維持に重要な役割を果たすビタミンやステロイドホルモンに体内で変化することが期待でき、スマートエイジング素材として健康維持に貢献できる食品素材です(食品ですので薬効はアピールできません。)

ベニノキの花

種子

種子から抽出したアナトー油

写真提供:三菱ケミカル(株)、タマ生化学(株)

B群ビタミン「ビオチン」

ビオチン(Biotin)はビタミンB群の一種で水溶性ビタミンです。栄養機能食品の素材として「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」と表示できます。

駒井らがビオチンの健康機能性について研究した結果、摂取基準量以上の服用で、糖尿病・高血圧抑制作用のほかにテストステロンの分泌を促進する作用があることを明らかにしました。

男性ホルモンとして知られているテストステロンは、「長寿因子」あるいは「やる気ホルモン」などとも称され、女性でもある程度存在していることが重要だと言われています。

biotin01

健康維持サプリメントへの活用

ビオチンは栄養機能食品の素材として「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」と表示できるうえ、生活習慣病の抑制作用と体内でテストステロン合成促進作用が期待できる、スマートエイジング素材として、健康維持に貢献できる栄養素です。

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