研究開発
研究理念: 東北大学農学研究科発の技術の実用化を通じ、社会の持つ課題解決に貢献します。
現在の研究
- 超高齢化社会に対応する スマートエイジング素材・食品の開発
- タキシフォリンを機能性素材とする機能性表示食品の開発
- タキシフォリンとビタミン等を活用した健康維持サプリメントの開発
これまでの研究
葉緑素由来物質が原因の光過敏症の研究
木村修一はクロロフイルの分解で生じるフェオホルバイドによる光過敏症及び、食品素材による光過敏症の予防を研究し、フェオフオルバイドにより発生した一重項酸素が原因となる生体組織の酸化をタキシフォリンが化学反応により抑制し、光過敏症を予防することを明らかにしました。
また、木村修一はタキシフォリンを用い高温加熱時に食品に発生するアクリルアミドの低減方法等を開発いたしました。
特許:加熱処理加工食品中のアクリルアミド低減方法(登録5486079出願日2011.6.21)ロシア、中国、ドイツ、フランス、イギリスで特許取得済。
※例えばジャガイモにタキシフォリンを加えフライするとフライドポテト中のアクリルアミドが低減する。
特許:食品用抗酸化剤(登録6761623、出願日2015.8.21)
※タキシフォリンと乳化剤を組み合わせ、食用油脂の加熱劣化を抑える。
農林水産の未利用資源を有効活用するための技術開発、商品開発
・ホヤの外皮(殻)の活用
東日本大震災により、宮城県のホヤ養殖は壊滅的な被害を被りましたが、2016年には15,000トンレベルに復活しまし、ホヤの剥き身を急速冷凍し、通年で全国流通できるようになりました。生産する時に発生する外皮(殻)は産業廃棄物となりますが、これを活用し震災復興に貢献すべくホヤランプ(品名:「ロレツイ®」ランプ)を開発しました。2021年から仙台うみの杜水族館、松島離宮などで販売しています。

2022年には東北大学基金の高額寄付者に対する返礼品に採用されました。詳しくはこちら。

「タキシフォリン」の研究開発

タキシフォリンは天然のフラボノイドの一種で、ロシアのシベリアで生まれ育ったカラマツに約3%程度含まれる成分です。タキシフォリンは、幹の下の方に集まっています。シベリアのカラマツは、夏は30℃以上、冬はー60℃以下の環境でも生育する生命力の強い木です。日本のカラマツにもタキシフォリンは含まれていますが、有効成分を90%以上に高めた粉末とする技術はロシア独自の技術です。
ロシアでは、カラマツの木を煮出した汁を飲んで、健康を維持するという使われ方が古くからあり、1960年頃にロシアの化学者が調べたところ、タキシフォリンは学術的に健康維持にたいへん役立つ成分であることがわかりました。現在まで、タキシフォリンの学術研究は国際的に行われております。タキシフォリンの学術論文は国際タキシフォリン学会のホームページ(一般社団法人 国際タキシフォリン学会 国際タキシフォリン学会)にてご確認ください。

タキシフォリンとビタミンCの相性は非常に良好で、(株)DHQからタキシフォリンとビタミンCを組み合わせたサプリメント(「ラビトールプラスタキシフォリン」)が発売されております。
サプリメントでタキシフォリンの原料となる「ラビトール®」(タキシフォリン純度90%品)は、ロシアから輸入されています。「ラビトール®」は、日本への輸入に際し2005年に厚生労働省が食品として承認し、食品表示名称は「カラマツ形成層・木部抽出物」となっております。「ラビトール®」は、米国におきまして2009年GRAS認証、EUにおきまして2016年「Novel Food and Novel Foods Ingredients」認証を受けており、日本では日健栄協「安全性自主点検」認証を2024年に受けており、国際的に安全性が認められています。
健康維持サプリメントへの活用
タキシフォリンのヒトの認知機能に対する影響を調べた結果、視覚的認知機能の維持に役立つことが2023年に報告されました。この知見に基づき、当社は機能性表示食品の届出を行い、商品開発を進めております。
健康維持サプリメント
スマートエイジング素材として天然フラボノイドの一種「タキシフォリン」の認知機能に及ぼす機能は、多くの実験動物で明らかになっております。
一方、ヒトを対象とした認知機能に及ぼすタキシフォリンの機能を明らかにするため、健康な中高年を対象に行われた臨床実験では、認知機能の一部である視覚的記憶力の維持に役立つ機能があることが報告されました。この知見を根拠とし機能性表示食品の届出を消費者庁に申請し、届出が受理されました。消費者庁機能性表示食品届出情報検索システムに弊社の届出が以下公開されております。
届出番号 | J645 |
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届出日 | 令和6年9月25日 |
商品名 | 生活習慣力 |
食品の区分 | 加工食品(サプリメント形状) |
機能性関与成分 | タキシフォリン |
表示機能 | 本品にはタキシフォリンが含まれます。タキシフォリンには健康な中高年の加齢によって低下する認知機能の一部である視覚的記憶力(図形等を認識し記憶し、それを後から呼び起こす力)の維持に役立つ機能があることが報告されています。 |
注目素材「ゲラニルゲラニオール」

ゲラニルゲラニオール(geranylgeraniol;GGOH)は食品素材ですが、摂取すると体内で脂溶性ビタミンやステロイドホルモンなどの中間原料となり、結果的にCoQ10や脂溶性ビタミン(E、A、K 等)が体内で増加します。
GGOHは 植物精油の主成分テルペンが2つ結合したジテルペンにアルコール基がついたもので、野菜、果実、穀類 それらを原料とした油脂 に含まれています。このことから、我々は通常の食事を通じて GGOH を摂取しています。GGOHを摂取すると体の細胞内で、多くの生合成反応の中間材料として使われます。GGOHは結果的にCoQ10、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンK、ステロイドホルモン等の体内産生に関与し、これらが体の生体反応を正常に維持することで、健康維持に役立っています。最近の研究でGGOHは抗炎症作用、細胞修復作用があること、男性ホルモンテストステロンの分泌増強作用があること、が明らかになってきました。
GGOHはオリーブ油、亜麻仁油、ヒマワリ油に高濃度で存在しますが、南米の植物ベニノキ(Bixa orellana L.)の種子の被覆物に最も豊富に存在します。ベニノキの種子を食用植物油で抽出したものがアナトー色素の原料アナトー油です。工業原料としてはアナト―油を精製したGGOH純度50%品があります。
健康維持サプリメントへの活用
ゲラニルゲラニオールは健康維持に重要な役割を果たすビタミンやステロイドホルモンに体内で変化することが期待でき、スマートエイジング素材として健康維持に貢献できる食品素材です(食品ですので薬効はアピールできません。)
ベニノキの花

種子

種子から抽出したアナトー油

写真提供:三菱ケミカル(株)、タマ生化学(株)
注目素材 B群ビタミン「ビオチン」
ビオチン(Biotin)はビタミンB群の一種で水溶性ビタミンです。栄養機能食品の素材として「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」と表示できます。
駒井らがビオチンの健康機能性について研究した結果、摂取基準量以上の服用で、糖尿病・高血圧抑制作用のほかにテストステロンの分泌を促進する作用があることを明らかにしました。
男性ホルモンとして知られているテストステロンは、「長寿因子」あるいは「やる気ホルモン」などとも称され、女性でもある程度存在していることが重要だと言われています。


健康維持サプリメントへの活用
ビオチンは栄養機能食品の素材として「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」と表示できるうえ、生活習慣病の抑制作用と体内でテストステロン合成促進作用が期待できる、スマートエイジング素材として、健康維持に貢献できる栄養素です。